信金中金、PFI事業におけるプロジェクトファイナンスの情報共有基盤にイントラリンクスを採用
2022/9/21信金中央金庫(信金中金)は、公共施設の建設・運営に民間資金や経営能力を活用するPFI(Private Finance Initiative)事業において、資金調達を行うプロジェクトファイナンスに参加する金融機関の情報共有を実現するために、イントラリンクスの「バーチャルデータルーム (VDR) 」を導入しました。膨大な数量に及ぶ関係書類の情報共有にかかる時間を大幅に短縮し、担当者の業務負荷を軽減する効果が得られています。
課題
信金中央金庫(信金中金)は、「信用金庫の中央金融機関」として1950年に設 立された協同組織形態の金融機関です。現在は日本全国254の信用金庫 の“セントラルバンク”として機能し、信用金庫の収益力向上や健全性確保に 向けた経営サポート、信用金庫の多様な業務のサポート、信用金庫等から調達 した預金や資金の資産運用という3つの役割を中心に事業を展開しています。 そんな信金中金の取り組みの一つに、公共施設の建設・運営に民間資金や経営 能力を活用するPFI(Private Finance Initiative)事業向けの融資があります。 「信金中金は、地域に根ざす信用金庫とともに地域活性化への貢献活動に 力を入れています。PFI事業向けの融資は、信用金庫が地域で集めた資金を地 域の公共事業に活用できることから、従来から融資のアレンジに積極的に取 り組んできました。現在までに、信金中金のPFI事業向け融資アレンジの実績 は累計57件、組成総額は累計約6,100億円、参加信用金庫は延べ134庫に上 ります。近年はESG投融資を推進する観点からも、PFI事業向けの融資の拡大 を図っているところです」(信金中央金庫 法人営業推進部 業務グループ 調査 役 前川直紀氏)
PFI事業の融資は、主に公共事業プロジェクトを遂行するために設立された PFI事業会社が借入人として資金を調達する「プロジェクトファイナンス」とい う手法で行われます。このプロジェクトファイナンスでは参加する複数の金融 機関で膨大な関係書類が交わされるため、情報共有にかかる担当者の業務 負荷が高いという課題がありました。
「プロジェクトファイナンスは関係書類が多く、与信期間も長期間となるため、 書類の受発送や書類の保管にかかる担当者の業務負荷が高い状態にありま した。情報共有は主に紙書類の郵送またはメールの送受信で行いますが、誤 発送・誤送信や紛失などのセキュリティリスクも伴うため、一刻も早い改善が 急務でした」(前川氏)
ソリューション
この課題解決を目指した信金中金は、関係書類をまとめて保管する情報共 有基盤の導入に向けた検討を2021年度第一四半期に開始しました。複数の 情報共有ソリューションを候補に挙げ、金融機関が求めるセキュリティ水準を 満たしていること、国内の金融機関における利用実績があることを重視し、ソ リューションの選定を行いました。その結果、信金中金が採用したのが、イント ラリンクスの「バーチャルデータルーム (VDR) 」でした。
「イントラリンクスVDRは、大手都市銀行でも使われているなど国内に豊 富な利用実績があります。プロジェクトファイナンスに参加する金融機関の なかにも、イントラリンクスVDRを利用した経験があったことも決め手にな り、2021年度の第2四半期に導入を決定しました」(信金中央金庫 法人営業 推進部 業務グループ 足立悠氏)
そこから段階的にイントラリンクスVDRの導入を進め、2022年7月現在までに 6案件に導入。延べ22庫がイントラリンクスVDRを利用しています。 「イントラリンクスVDRは、アレンジャーとして参加招聘業務を行う法人営業 推進部 プロジェクト金融室が各種デューデリジェンスレポートや関連契約書 といった検討資料の共有場所として利用しています。また、エージェントを担 当する法人営業推進部 業務グループでも、参加金融機関向けの意思結集手 続きや借入人からの報告書面の共有に利用しています」(足立氏)
導入効果
イントラリンクスVDRの導入後、信金中金ではさまざまな効果を実感しています。 「大容量の関係書類をメールでやり取りする場合、ファイルを圧縮して分割しな ければならないといった無駄な作業が発生していました。しかし、イントラリンク スVDRの導入後は、複数の大容量ファイルをストレージに格納するだけで容易に 情報共有できるようになり、担当者の業務負荷は大きく軽減されました。複数の 参加金融機関宛てに関係書類を印刷して郵送していたときに比べると、作業時 間が1件あたり約1時間の短縮になるなど、さらに劇的な効果が得られています」 (信金中央金庫 法人営業推進部 業務グループ 木越孔明氏) また情報共有にかかる作業だけでなく、イントラリンクスVDRを利用する金融 機関も含め、プロジェクトファイナンスに関する業務全体の効率化にも役立っ ています。
「「関係書類をクラウドストレージへ一元的に保管できるようになったことで、 紙書類やファイルを受け取っていた金融機関の書類管理にかかる負担も軽減 されました。さらにアクセスレポート機能により、レンダー(貸し手の金融機関) がファイルの授受状況を容易に把握できることにもメリットを感じています。利 用する信用金庫からは『直感的で利用しやすく、過去の資料を容易に検索・閲 覧できるようになった』『郵送で送られてきた書類やメールで受信・印刷した書 類のファイリングが不要になり、資料の管理作業が効率化できた』といった喜 びの声も寄せられています」(足立氏)
今後の展開
信金中金は、イントラリンクスVDRの導入効果を踏まえ、さらに適用の幅を広 げていく方針です。
「信金中金では年間100件以上も貸付人の意思結集を行っており、また借入 人からの報告書類を貸付人宛てに送付する作業は年間600件を超えていま す。現段階においてイントラリンクスVDRを活用できている案件は6件だけに過 ぎませんが、今後は他の既存案件にも順次導入し、業務負担とリスクの軽減に 役立てていきたいと思います」(前川氏)
イントラリンクスVDRは今後も、信金中金が手掛けるプロジェクトファイナンス 関連業務の効率化に貢献し続けることでしょう。
図解
信金中央金庫
法人営業推進部
業務グループ
調査役
前川 直紀氏
信金中央金庫
法人営業推進部
業務グループ
足立 悠氏
信金中央金庫
法人営業推進部
業務グループ
木越 孔明氏